埼玉車協 調査研究委員会 塗装材料費講習会報告
2023-12-25
1. 日 時 :令和5年9月10日(木)9時00分〜16時00分
2. 場 所 :専門学校 埼玉自動車大学校
3. そ の 他 :塗装材料費及び副資材の検証
4. 参加者(茨城):根本(理事長)、篠崎(調査研究委員長)、鈴木(技術副委員長)
5. 検 証 車 種 :初度登録H19年1月 トヨタ フィールダー 5Dワゴン NZE144
カラー1F7(塗料 ロックペイント、副資材 3Mなど)
6. 損 傷 個 所 :左Frドア (8dm Cランク) 1/1塗装(前後パネルボカシ)
7. 検 証 結 果 :塗装材料費合計(塗装副資材含)15,704円(原価)
となりました。
※鈑金副資材及び鈑金材料費は上記に含みません。
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以下、埼玉車協講習会の様子と茨城車協での検証結果
※あくまで自社の経営向上の参考にするためにのみご利用し、第三者機関に開示しない旨ご理解いただきますようよろしくお願いいたします。
(写真:使用する副資材)
今回使用する様々な副資材。
〇感想
番号により、どの材料を使用したか一目瞭然で分かりやすかった。(根本理事長)
(写真:検証する修理工程と副資材)
車に損傷からサフェまでの工程を再現。
〇感想
修理工程順にどの材料を使うか、貼り付けてあり分かりやすくなっていた。
各社によって工程や使用材料の違いが出る点に関しても分かりやすく、使わなければその番号の
材料を除けば良いだけ。(根本理事長)
(写真:左Frフェンダー)
検証修理の損傷の大きさ:8dm2
左Frフェンダーに「8dm2」の大きさの損傷を再現。
〇感想
このぐらいの損傷を鈑金するというイメージが出来る。(根本理事長)
(写真:左Frドア)
鈑金作業、旧塗膜剥離に使用する副資材1~6(使用副資材算出シート写真参照)。
〇感想
鈑金作業を行うための副資材が貼ってあり(ベルトサンダーや鈑金ワッシャー
など)、その副資材を使うかの判断を各社で判断できるので分かりやすかっ
た。(根本理事長)
(写真:左Rrドア)
鈑金パテ前の準備に使用する副資材7~10(使用副資材算出シート写真参照)。
〇感想
鈑金パテ前のフェザーエッジ処理に使用するサンドペーパーの種類や脱脂作業におけるペーパーやシリコンオフなど細分化されていた。(根本理事長)
(写真:左Rrクォーターパネル)
鈑金パテ付けから研磨作業に使用する副資材11~15(使用副資材算出シート写真参照)。
〇感想
パテはグラム単位で1回分の使用量を計算してある。(根本理事長)
(写真:右Rrクォーターパネル)
塗装に使用する副資材16~25(副資材算出シート写真参照)。
〇感想
この部分から指数上の塗装工程。
ポリパテから研磨のペーパー、マスクなどコンプライアンスを重視し、必要な副資材も入れてあるところは流石。(根本理事長)
(写真:塗装作業①)
測色機で調色し、使用溶剤をグラム単位で算出し塗装。
〇感想
測色機の性能を確認するため、左Frドアをブロックで塗装し、前後のパネルはクリアのみの塗装としたが、そのまま納車できるレベルに近かったのには驚いた。(根本理事長)
(写真:塗装作業②)
塗装工程に使うマスキングテープやペーパー及びビニールも算出。
〇感想
ロックペイントのインストラクターの技術が素晴らしいこともあり、使用溶剤が少なく、塗り肌も大変素晴らしかった。(根本理事長)
(写真:ブツ取り及び磨き作業)
磨き及び仕上げ工程。
〇感想
ブースの塗装環境は悪かったが、インストラクターの技術が素晴らしかったのでゴミも少なかった。
磨き工程でもコンパウンドやバフの種類など細かく説明された。
コンパウンドなどの使用量もグラム単位で算出されており分かりやすかった。(根本理事長)
以上で作業終了し使用した材料の算出を行いました。
(写真:使用副資材算出シート)
1~15までは鈑金の副資材です。
上の写真3枚は鈑金から塗装完成までに使用した材料の詳細を計算したもの。
〇感想
枚数や単価がグラムやcmまで細かく算出されていて、正確な金額が出ていると感じた。(根本理事長)
(写真:溶剤価格参考資料)
今回使用したロックペイントの価格表です。
(写真:使用塗料算出シート)
使用した塗料代を算出。
〇感想(根本理事長)
今回はロックペイント社の価格表で算出したため、あくまでも参考とし、各社で使
用している塗料での算出が大事。
(写真:指数使用上の留意点)
脱着・取替・鈑金における材料代は指数には含まれないとある。
〇感想
材料代を指数対応単価に含んで計算するのか、別に計上するのかは各社の判断。(根本理事長)
(写真:材料代計算シート)
以上から塗装材料代原価15,704円と算出された(鈑金材料代除く)。
鈑金材料代は原価1,822円であった。
以上、埼玉車協での検証結果。
茨城県に置き換え検証
埼玉県での結果を参考に、茨城県の保険会社の指数対応単価で検証する。
(写真:指数対応単価を6,610円で算出)
茨城県の保険会社参考の指数対応単価6,610円で材料代も計算すると、材料代は5,900円と算出される。
(写真:塗装材料代単価を19,000円で算出)
材料代割合14%の係数1.0だと15,700円となる。
塗装材料代単価を19,000円で計算しないと材料代原価には届かない。
※保険会社は材料費も指数対応単価をそのまま使用するので注意が必要。
〇塗装材料代の計算
2023年4月以降の茨城県デーラー平均指数対応単価6,610円で、メタリック塗装(基本割合14%係数1.0)で塗装材料代を計算すると、
塗装材料代5,900円となり9,804円(原価)の赤字となる。
材料代割合14%と係数1.0で算出すると指数上材料代単価を19,000円にしないと原価割れとなる。
また、保険会社の指数対応単価×材料代割合で算出するとなると材料代割合37%にしないと原価割れ。
各社で材料費を算出しないと分からないが、
この結果だけを参考にすると、保険会社の提示する材料代が原価割れしているということになる。
これは、指数に基づき車体整備業におけるコンプライアンスを厳守し、健全な作業を行う為に必要な材料代を算出した1つの結果。
各社で材料代の計算をして、正当な材料代が反映しているのかを確かめる必要があると感じた。
〇年間材料代が合っているのか?
見積もりの塗装明細の塗装材料代1年間分の合計と、塗料会社からの1年間分の材料仕入れ伝票の合計を照らし合わせると、大まかな材料代の請求がおおよそ合っているのか分かる。
〇塗装材料代の算出方法
材料代を、保険会社のように割合のみで算出する場合と、材料代単価で算出する方法がある。
また、材料代を算出するにあたり、原価請求では利益が出ないので利益分は係数などで調整するのが良い。
総評
根本理事長
指数対応単価は、各社でレバーレートを算出し材料代や残存物の処理費用など頻繁に金額が変動するものを除いて、指数対応単価を設定し、別に材料代など仕入れ値が変わったタイミングで算出して請求する方が自分はやりやすいと感じました。
先ずは自社のレバーレートを算出し、材料費や経費などを知ることが重要です。それを基に自社の見積もりに反映していくことが安心安全な車体整備(健全な修理)をする上で大切です。
自社の修理において適正な金額を決め、根拠を持って見積もりを作成し、自信をもって説明できることが望ましいと思います。
篠崎調査研究委員長
現実的に1台ごとに算出するのは不可能ですが、事細かに原価を計算していて大変参考になりました。
年々、材料が値上がりしている事で、作業の失敗や無駄になる事も含め、多めに請求している様で、実はそうでもないのかな?とも感じました。
講習時の使用材料は、自社の材料とは違うので計算した金額とは大きく離れていましたが、金額の多寡ではなく、適正に請求する為に知ったかぶりせずに面倒でも定期的に見直すべきだとも思いました。
鈴木技術副委員長
自分は立場上、あまり材料代を把握していませんでしたが、
講習のように、1度全ての工程ずつに材料代を細かく計算する事は必要だと感じました。
そして、その結果を作業者に見せるだけでも、材料代に対する意識が高くなるのではないかと思いました。
以上、茨城車協参加者による検証結果となります。
※あくまで自社の経営向上の参考にするためにのみご利用し、第三者機関に開示しない旨ご理解いただきますようよろしくお願いいたします。